AliExpressで壊れた商品が届いたのでOpen Disputeして返金してもらう|方法と体験記

2020年5月16日

AliExpressで商品を購入するうえで避けては通れないのが各種各様のトラブルだ。今回,私はAliExpressで購入して到着した商品が真っ二つに割れており使い物にならないというトラブルに遭遇し,初めてOpen Disputeの機能を利用した。

「Open Dispute」とは,簡単に言えば購入時のトラブルをAliExpressが仲裁する機能のことだ。この機能は,商品に問題があるなどの場合に使用する機能であり,返金などを求めて交渉することができる場となっている。基本的にはあまり使いたくない機能ではある。とはいえ,その商品トラブルに遭遇したのだから,いまこそこの機能を使う時であると考え,Open Disputeの機能を使用してみた。

そこで,この記事では2019年6月時点におけるOpen Dispute機能の使い方や手続きがどのような流れで進んでいくのかを簡単に書き記しておきたい。

届いた商品は真っ二つに割れていた

私が購入したのは「木製のティッシュケース」である。白いプラスチックの本体に木製の蓋がはめこまれているものだ。デザインがシンプルで,家で使うのにいいかなと思って,自分で使うために購入した。

商品を購入した店舗は特に深く調べずに選んだ。とはいっても,同種の商品について一番販売数が多く,またレビューの平均値も高いという程度のことは見たうえで,店舗を選択した。

商品が届いたのは注文から10日ほど経ってからのことだった。AliExpressでの購入であれば,注文から10日ほどで到着するというのは比較的早いほうだ。迅速に発送・配達がなされたものといえるだろう。

このようにして商品が到着し,わくわくした気持ちで配送の包みを開けてみたところ……見るも無残,なんと商品は真っ二つに割れていたのである。正確には,ティッシュケースの蓋の部分が木製なのだが,この木の蓋が縦に真っ二つに割れていたのだった。

最初は一瞬「そういう商品」なのかと目を疑ってしまったほどにあたかも当然のように割れた状態で箱に入っていたのだが,そんなはずはない。明らかに配送の途中か何かの折に商品が破損したとしかいえない状態だった。

AliExpressでの購入は,商品がまともに届かないのはよくあること。そのような認識は知識として当然持っていたのであるが,実際に明らかに破損した商品が手元に届いてしまうと,「ああ,それって本当なんだなあ」と,どことなく感慨すら覚えるものであった。

泣き寝入りか? 返金要求か?|返金要求をしてみることに

破損した商品が届いたなど,購入の過程でなんらかの問題があった場合には,いくつかとりうる選択肢がある。

一つは泣き寝入り。これはこれで選択肢としてはあり。

返品は発送の手間がかかるし,返金は慣れない英語を用いて事情を説明してうまく交渉しなければならない。商品の価格が比較的安いものであれば,泣き寝入りしてしまうというのも,一定の経済的合理性を有する選択肢であるといえるだろう。

今回の商品も,購入代金は送料を含めて8.58ドル(約900円)と比較的安価な商品であり,泣き寝入りすることも少しは考えた。泣き寝入りをすれば,受け取り評価をして低い評価をつけ,代金はそのまま支払い,手元には壊れた商品だけが残る。それで終わりだ。

しかし,配送されてきた商品が真っ二つに割れているという,誰がどこからどう見ても売主に非がありこちらに勝ち目しかなさそうな場面というのもそうそうない。このような状況であれば,売主に対して返金などを求めて交渉するのもいい経験になるだろうと考え,今回は泣き寝入りせずに返金など一定の対応を求めることとした。

取り得る二つの方法|直接交渉ではなくOpen Disputeがおすすめ

AliExpressにおいて何らかの問題が発生して売主に何らかの対応を求めるには,二つの方法がある。

一つが,直接セラーにコンタクトを取ること。AliExpressアプリ上のチャット機能を使って直接セラーに問題状況を伝え,やりとりをしてこちらの要望を伝えて解決を図るというやり方だ。

このやり方にはメリット・デメリットの双方がある。

メリットとしては,セラーが話の分かる誠実な売主だった場合に,対応が迅速になされる可能性があるということだ。もっとも,実際のところそのようなセラーは稀であるといえそうだ。日本人基準からすれば適当すぎるというような売主は多い。文化の違いがここにはある。

デメリットとしては,セラーが話の通じない杜撰な対応しかしてくれない不誠実な売主だった場合に,まったく話が進まず問題が解決しないということである。実際にはこのパターンのほうが多いと聞く。

このようなことから,今回,私は,もう一つの解決手段である「Open Dispute」をただちに行うこととした。次善に直接セラーにメッセージを送って直接交渉をするなどのことはせず,商品が到着して瑕疵があることを確認したらただちにOpen Disputeを行なったのである。

ここからがこの記事の核心だ。AliExpressでOpen Disputeを行なった場合,どのようにことが進むのか。実際に私が体験したその一例をここに紹介したい。

Open Disputeとは|Ali公式の交渉と仲裁の場

「Open Dispute」とは,簡単に言えば,買主と売主との間に発生した揉め事をプラットフォームの運営者であるAliExpressそのものを巻き込んで解決しようというシステムだ。

買主側がOpen Disputeを申し立てることにより,買主と売主との間に生じた紛争に対してAliExpress運営が中立的な仲裁人の立場に立って適切な解決を導くべく判断を下すという構造になっている。

Open Disputeは,ある種の仲裁である。このことから,買主の側が申し出た一定の主張に対し,売主がなんらかの反論をなし,また買主・売主は必要に応じてその主張を根拠づける証拠を提出し,これら双方の主張と提出された証拠を総合的に考慮して,AliExpress運営が裁量をもって一定の終局的な判断を下すという構造になっている。

8.58ドル中7.0ドルの一部返金を求めることに

今回,私は,一部返金を求めることとした。

全部返金を求める場合には,商品の返品を行わなければならないというルールになっている。たとえティッシュケース1個といえども,日本から中国に向けて送料を負担して返品の手続きを行うのは,経済的にも手間の面からしてもあまりやりたいものではない。額の大きな商品であればそうするかもしれないが,今回は約900円相当の商品でしかない。

全部返金ではなく一部返金であれば,手元にある破損している商品を返品する必要はないというルールになっている。このため,返品の必要がない一部返金を求めることにしたのである。

返金請求額についても自分で決めて主張することとなる。額の算定に特に根拠はないが,今回は7.0ドルの一部返金を申し立てた。送料を含めた購入代金が8.58ドルだったので,その8割程度である。最終的な判断ではおそらくこちらの要求から一定程度減額されて返金が認められるだろうと考えたことから,わりあい高めの請求額としておいた。

英文で返金要求の理由を書く

一部返金を求めることとなったが,まず初めに,返金を求めることとその理由を相手とAliExpressに伝えなければならない。

AliExpressにおけるやりとりは基本的にすべてが英語なのだが,もちろんOpen Disputeにおいてもそれは同じことである。手続きの中で,自分が今回求めている内容(返金対応やその額など)とそれを根拠づける説得的な理由を英文で書かなければならない。

英語が苦手でもここは避けては通れないので,がんばって英語を書こう。ここで英語が書けないというのであれば,もう泣き寝入りしか残されていない。

英文で返金要求を申し立てた理由を書くにあたってはいくつかポイントがある。

請求を根拠づける事実を端的に書く

一つ目は,請求を根拠づける事実を端的に書くことだ。

たとえば,今回のように商品が破損していたならば,「商品が破損していた」という事実を書く。もちろん,どの部分がどのように破損していたかを明確にしなければあまり事情が伝わらない。今回の申立て理由には,「木製の蓋が真っ二つに割れていた」という内容を英文で書いた。

相手側に非がありこちら側に非がないことをしっかりと伝える

もう一つは,仲裁人であるAliExpressに対し,相手側に非があってこちら側に非がないことをしっかりと伝えることだ。

今回であれば,到着した商品を開封してみたところ梱包材がまったく使用されておらず運搬時に生じる衝撃の緩衝材となるものが何もなかった。これでは商品が破損して当たり前である。これは,相手側にのみ非があることを根拠づける事実といえるだろう。

このことから,今回の申立て理由には「商品の梱包には緩衝材がまったく使われておらず,商品の箱も相当傷ついていた」という内容もあわせて書いた。

理由の英文は短くても大丈夫

実際,今回理由として英文で書いたのはそれだけである。「木製の蓋が真っ二つに割れていた」「商品の梱包には緩衝材がまったく使われておらず,商品の箱も相当傷ついていた」「だから,一部返金を要求する」と。

英文で申立て理由を書くとはいえ,難しい単語や言い回しを使う必要はない。また,長々と文章を書く必要もなく,むしろ短く端的に事情を伝えられればそちらのほうがよりよい。感情的な文言や謝罪の要求などはもってのほかだ。本当に要求したいのは,返金なのだから。

Google翻訳などを駆使して伝えたいことが伝わればいいという程度の英文が書ければそれでいいと割り切って書こう。AliExpress側もこちらが英語ネイティブではないことくらい分かっているはずだから,たとえつたない英語であったとしても伝えたいことが伝わればそれで成功だ。

今回は,Google翻訳や英和辞典などを適宜活用して短い英文を書き上げた。

破損した商品の画像も添付する

申立てにあたっては,画像や動画も添付することができるようになっている。必ず事情がよく伝わる画像・動画を添付するようにしよう。証拠写真は下手な英文よりもずっとよく状況を語って伝えてくれるはずだ。ここを怠ってはいけない。

今回は,「真っ二つに割れている木製の蓋の様子」および「相当傷んだ商品パッケージのダンボールの様子」を写真に撮って添付した。

iPhoneなどのカメラで写真を撮影し,それをAliExpressのアプリ上から選択して添付するだけなので,作業自体はいたって簡単だ。

相手側の反論はなし|沈黙を貫く相手方

本来であれば,次に来るのは相手方すなわち売主による反論だ。

もっとも,今回の事案では,商品が真っ二つに割れていたということが申立ての際に添付した証拠写真からも明らかであり,相手側からしても何か反論したところでさして勝ち目はなかったものと思われる。

そのことが理由なのかは分からないが,こちら側の主張に対して売主である相手側の反論がなされることはなく,セラーは最初から最後まで完全に沈黙という状態だった。無視されていたといってもいいかもしれない。

AliExpressの判断が先に出ることに

売主が反論もせず沈黙を貫く中,AliExpress運営の判断が先に出ることとなった。

AliExpress運営が仲裁の結果として判断を下したのは,Open Disputeの手続きを申し立ててからわずか2日後だった。これはかなり早い。

このような迅速な判断がなされたのは,相手側の反論がなかったことや,商品が真っ二つに割れていて使い物にならないということが添付した証拠写真から明らかであり,こちらの言い分が妥当であることが明白だとAliExpress運営から見ても明らかだったことが理由なのかもしれない。

結果は「一部返金」|6.07ドルの返金が認められる

AliExpress運営が今回の紛争に対して下した判断は,「6.07ドル(約650円)を返金する。商品の返品は不要である。」というものだった。

こちら側の請求は7.0ドルの返金というものだったので,請求の満額を認めたという結果にはならなかったものの,請求額である7.0ドルからすれば9割近く,購入代金額である8.58ドルからすれば7割近くに相当する額の返金が認められた結果となった。これは,こちら側に比較的有利な判断がなされたものということができるだろう。

こちらとしては,「請求満額の返金を認めてもいいレベルの商品破損では?」と思わなくもないが,請求満額ではなく適当なところで間をとって丸く収めるというのがいかにも中国企業らしい考え方のようにも思われた。この返金額は,個人的には満足できる認容額であったといえる。

なお,この手続きによってなされたAliExpress運営による判断に対しては,不服を申し立てることはできない。

返金処理は意外と早い|2日ほどで返金

一部返金の最終的な判断がなされても,それでただちに返金処理が完了するわけではない。「紛争中」のステータスが「返金の手続き中」というステータスに変わり,返金が実際になされるまでにはある程度の時間がかかる。のんびり待つとよいのだろう。

今回のケースでは,実際に返金処理が完了したのは意外にも早く,仲裁の結果が出てから2日ほど経ってからだった。

今回,商品代金の支払はクレジットカードで行なっていたことから,クレジットカードへの返金という形になっていた。これがクレジットカードではなく銀行口座への振込みなどとなると,もう少し時間がかかっていたのかもしれない。

クレジットカードの支払明細を確認すると,確かに返金処理がなされている。これで本件は無事解決ということになる。

セラーへの受取評価も忘れずに

今回は返品不要の一部返金のみの対応となり,商品の返品はしていないことから,セラーに対して商品の受取評価をしなければならない。忘れずに行うようにしよう。

私は,迷うことなく最低評価である星1をつけ,商品破損の旨をコメントに書き添えた。

AliExpressでは基本的に最高評価である星5をつけるという文化があるのだが,ここで遠慮をする必要はないだろう。商品が使い物にならないレベルで破損して届いたのだから,迷いなく星1である。

AliExpressからのサーベイもある

Open Disputeの手続きを終えると,AliExpressから手続きに対するサーベイ(アンケート調査)を行いたいという旨のメールとサーベイ用リンクが送られてきた。このサーベイは,おそらくただのアンケート調査であり,無視したとしても返金の結果に影響はないと思われた。しかし,迅速に一部返金という解決をしてくれたのだから,アンケート調査に協力しても損はないと考え,協力しておいた。

アンケートは,いくつかの質問に選択式で答えるという形だった。手続きの迅速さに満足したか,判断の結果に満足したかどうかなどを質問される。実際のところ,今回の手続きにはおおむね満足といったところだったので,満足したという選択肢を多く選んでおいた。

何かあればためらうことなくOpen Disputeをしてみよう

私は,事前にウェブ上の記事を見て,AliExpressにおけるOpen Disputeの手続きは英語でのやり取りが必要であることや相手方にごねられたりしてすんなり解決しないことなどがあり,なかなかそれに踏み切るのはためらわれるものなのかなという印象を抱いていた。

しかし,実際に自分で手続きをしてみると,想像以上に簡単に手続きが進み,また納得できる返金対応を受けることができた。

AliExpressでなんらかのトラブルに遭遇した場合,とりわけ商品が完全に破損していて使い物にならなくなっているなどこちらが明らかに有利な場合には,ためらうことなくOpen Disputeの手続きをしてみることをおすすめしたい。案外簡単に望ましい解決が得られるかもしれない。