【レビュー】スマホ用ジンバル「Feiyu SPG2」をiPhone SEで使う

最近,Feiyu Tech製のスマホ用ジンバル「SPG2」を購入した。iPhone SEを使って動画撮影を行っている。この記事では,iPhone SEでの動画撮影のレビューも含めて簡単にSPG2について紹介してみたい。

そもそも「ジンバル」とは

知っている人には当たり前のことであるが,執筆時点(2019年4月)ではまだあまり浸透していないため簡単に説明したい。

ジンバルとは,ビデオカメラ用3軸スタビライザーのことだ。スタビライザーとは安定装置のことで,動画撮影用にビデオカメラを載せて使用すると,モーター駆動により三つの軸でカメラを安定させてくれる。

簡単にいえば手振れなしで動画を撮影するために使用するための装置だといってよい。ジンバルを用いると,通常ありがちな手振れをかなりの程度まで抑制してくれて,手振れのない動画を撮影することができるのである。

自撮り棒のような形をしているが,自撮り棒とは別物だ。

2019年4月時点ではまだ一般の日本人の間には浸透しておらず,「ジンバル」と言っても通じないことが多い。秋葉原などの観光地であれば,外国人観光客がジンバルを持って街を撮影しながら歩いているのを時折見かけることができる。

どうでもいいことだが,ジンバルは英語では「gimbal」とつづり,発音は「ギンボゥ(ギンブル)」となる。英語話者がジンバルについてレビューをしているYouTube動画などを視聴する際にはこの発音を知っていないと全然聴き取れないということにもなるので,知っておくとなにかといいかもしれない。

購入経路は秋葉原のヨドバシ

通販などで購入すればもう少し安く手に入ったかもしれないが,急ぎで購入したかったこともあり,秋葉原のヨドバシカメラで購入した。ヨドバシでは,SPG2はおおむね3万円ちょうどくらいの価格で売られていた。

秋葉原のヨドバシカメラでは,SPG2以外にもさまざまなジンバルが販売されており,日本国内で手軽にジンバルを購入したい場合や店頭で実物を確かめてから購入したいという場合にはおすすめできる購入経路だ。たとえば,一眼レフ用も含めたFeiyu Techの他のジンバルや,他のメーカーのジンバル,あるいはDJI Osmo Pocketなども取り扱われており,いずれも実物を手に取って試してみることができる。

一方で,何を買うのか決まっていて実物を見なくとも購入してかまわないというのであれば,通販のほうがそれなりに安く購入することができる。安く買いたいという人は通販を使うとよいだろう。

iPhoneなどのほかGoProなどにも対応

「SPG2」は,Feiyu Tech製のスマホ用ジンバルだ。基本的にはiPhoneなどのスマートフォンを載せて利用することを想定してつくられている。iPhoneであれば現時点で最新のiPhone XS MAXを含めたすべての機種に対応している。

iPhoneなどのスマートフォンのほかには,GoProを含む一部のアクションカメラにも対応している模様であり,利用の幅は広い。一眼レフのような大きなカメラを載せることはできない。

購入時の梱包と付属品

SPG2は,購入時には大きな発泡スチロール製の箱に収められている。ケースなどの収納用品は付属していないので,持ち運びや保管の際にはこの発泡スチロール製の箱をそのまま利用し続けるか別途収納用のケースなどを用意する必要がある。ケースが付属していないのはやや残念なところ。

箱に収められている主な付属品は,次のとおり。

  • 充電用USBケーブル
  • 三脚
  • 給電用ケーブル
  • マニュアル

給電用ケーブルでスマホに給電可能

給電用ケーブルとは,SPG2本体から撮影中のスマートフォンに給電するためのケーブルのことだ。SPG2は,本体に設けられた給電用のUSB端子からケーブルでつなぐことにより直接撮影中のスマートフォンに給電できるようになっており,長時間の撮影時にもスマホのバッテリーがなくなってしまうという事態を防ぐことができる。

実際にスマホで動画を撮影してみると分かるのだが,動画撮影はかなりバッテリーを消費する操作であり,スマホによっては30分弱も連続撮影をすればあえなくバッテリー切れとなってしまうこともある。そんな電池切れを防ぐのがこの給電機能で,SPG2本体からスマホへと給電しながら撮影をすることで相当長時間連続撮影をすることも可能となる。数十分程度は連続して撮影したいという場面も多いと思われるため,この給電機能はかなりありがたい。

三脚を取り付ければ定点撮影も

三脚は,ジンバルの下部にネジでとりつける形となっており,容易に着脱が可能だ。三脚を取り付けた状態でテーブルなどに置いて定点的に撮影するというような場面に活用することが考えられる。最初から三脚が付属しているというのはありがたい点だ。

スマートフォンの装着は簡単

ジンバルにスマートフォンを装着する方法は簡単で,装着部分がばね式になっていて広がるようになっており,手で広げてスマホを挟み込むだけで装着できるようになっている。

装着部分はゴムでおおわれているので,着脱を繰り返してもスマホを傷つけるおそれもなく安心だ。

多様な撮影モード

SPG2は,電源ボタンを長押しすることにより起動する。起動前に先にスマホを装着してから電源を入れるとよいだろう。

撮影モードはいくつか用意されており,必要に応じて切り替えながら撮影をすることとなる。基本的には,左右方向の回転のみ手の動きに追従するモードにしておき,必要に応じて完全に手の動きに追従せず一方向を向き続けるというモードを利用するという使い方をすることになるのではないかと思われる。

そのほか,上下方向の回転についても追従するモードなど,いくつか追従のしかたが異なるモードが用意されており,切替えボタンを押すことにより簡単に切り替えることができる。どのように押せばどのように切り替わるのかについては,説明書に分かりやすく図入りで記載されているので,じっくり読みつつ使っていけばだんだん覚えられることだろう。

比較的軽量で疲れにくい

SPG2は,スマホ用ジンバルというだけあって軽く,本体の重さは600g程度となっている。

片手で持って数十分や数時間にわたり動画を撮影するために使用する道具なので軽いことは重要だ。SPG2は決して軽いと感じるものではないが,かといって重すぎるという印象も受けず,適度な重量に抑えられていると感じられる。この程度の重さであれば,片手で持って歩きながら数十分撮影しても軽く腕が疲れる程度で済む。

専用のアプリもあるが利用の必要はないかも

SPG2には「Vicool」という専用のスマホ用アプリが用意されており,このアプリをスマホにインストールし,SPG2とスマホとをBluetoothで接続することによって,スマホに触れなくともSPG2本体のボタンから直接スマホを操作することが可能となっている。たとえば,動画撮影の開始・終了をSPG2本体のボタンから行うなどのことが可能だ。

もっとも,個人的にはアプリを入れることには多少抵抗があるということやアプリがなくともジンバルそのものは使うことができるので,アプリを入れて利用するということはしていない。アプリの使い勝手を試してみて判断するとよいかと思われる。

SPG2にiPhone SEを載せて動画撮影

私は,SPG2にiPhone SEを載せて動画撮影を行っている。

SPG2は少なくともすべてのiPhoneには対応しており,最新のiPhone XS MAXのような大きな機種であっても装着して使用することが可能なので,この点は最近新しく発売されたジンバルならではの安心感といったところだ。

iPhone XS MAXのような最新機種であればもちろん十分に綺麗で質の高い映像を撮影することができるだろうが,私はとりあえず手持ちのiPhone SEで動画撮影を試みている。

iPhone SEは,動画撮影のための性能としては,1080p 60fpsや4K 30fpsでの動画撮影が可能であり,4K 60fpsでの動画撮影には対応していないという点は惜しいものの,1080p 60fpsでの動画撮影でも十分実用的な画質の動画を撮影できることから,動画撮影のために用いるには使える機種であるといえる。

iPhone SEで動画を撮影しようとして困る点は,画質というよりもむしろバッテリーの持ちだろう。iPhone SEは4インチという小さなサイズのiPhoneであり,バッテリーの持ちもそのぶんだけ短いことから,動画撮影というバッテリー消費の激しい操作を行おうとするとどうしてもバッテリー容量が足りずに数十分という短い時間でバッテリー切れとなってしまう。この点がiPhone SEを動画撮影用に用いる際の難点なのだが,SPG2を使えばバッテリーの問題は克服することができる。SPG2は,ジンバル本体からスマートフォンへと給電しながら使用することができるという機能が搭載されており,この給電機能を使用すれば数十分にわたり動画撮影をしていてもなかなかiPhone SEのバッテリー残量は減らず,結果として十分に長時間の撮影を行うことが可能となるのである。

iPhone SEは手振れ補正という観点でもその機能が搭載されていない機種であり,直接手で持って動画撮影をするのではどうしても手振れが気になってしまうのだが,SPG2のようなジンバルを使用すれば十分に手振れを抑えることができることから,手振れ補正という観点からもSPG2にiPhone SEを載せて動画撮影を行うことは十分に実用的だということができる。

まずは手持ちのスマホで気軽に動画撮影を始めてみよう

SPG2はスマホ用ジンバルであり,基本的にはiPhoneなどのスマートフォンで動画を撮影するために使用することが想定されている。価格としても3万円程度と十分に安価であり,手持ちのスマートフォンで動画撮影をすることができることから,気軽に動画撮影を始めてみたいという方には最初のジンバルとしておすすめできる製品だ。 まずはすでに所有しているiPhoneなどのスマートフォンからでも十分に実用的な動画が撮れるので,ぜひSPG2などのジンバルを導入して手振れのない一段階上の動画撮影を楽しんでみてほしい。