ゆうちょ銀行のニュー福祉定期貯金をマル優(非課税)で利用して福祉用の積立をする
自身が障害を負っていたり,障害を負った子どもを育てていたり母子家庭・父子家庭として子どもを育てていたりする方々にとって,預貯金の積立は非常に切実な問題だといえます。医療にかかる費用はもちろん,生活費などのためにも積立はとても大切なものです。
このような福祉的な目的での積立をするのにおすすめしたいのが,ゆうちょ銀行が提供しているニュー福祉定期貯金です。この貯金は,一般的な貯金と違って利率が非常に優遇されているほか,利息に対して通常課せられる税が非課税とされるなどのメリットもあり,福祉用途での利用に特化した設計となっています。
この記事では,ゆうちょ銀行が提供するニュー福祉定期貯金について解説を加えていきます。
利用できる人|障害者や母子家庭・父子家庭など
ニュー福祉定期貯金は,福祉目的の貯金制度であることから,利用できる人に限定があります。
この制度を利用できる人は,次のような人となります。
- 障害基礎年金,遺族基礎年金などの国民年金の受給者
- 障害厚生年金,遺族厚生年金などの厚生年金の受給者
- 障害共済年金,遺族共済年金などの共済年金の受給者
- 児童扶養手当,障害児福祉手当などの法律に基づいて支給される各種手当の受給者
- 恩給の受給者
- 援護年金の受給者
このことから,主には,障害者,遺族,母子家庭・父子家庭などが利用できる人ということになります。
障害を負った方のみならず,母子家庭・父子家庭も制度対象に含まれるという点は,注目すべきところかもしれません。
金利は0.11%|最大110倍相当の優遇
ニュー福祉定期貯金の預入金に対して付与される利息の金利は,0.11%です。
厳密には,定期貯金の利率に0.1%をプラスした率が金利となります。現在のゆうちょ銀行の定期貯金の利率は0.01%と設定されているため,0.1%を足して0.11%がこのニュー福祉定期貯金に設定された利率となるのです。
この利率は,非常に優遇された率だということができます。現在,ゆうちょ銀行にふつうに預け入れた場合,通常貯金の利率は0.001%とされています。これと比べるとニュー福祉定期貯金の利率は0.11%であり,通常貯金の実に110倍にも上ります。
言葉を換えれば,通常の貯金と比べて110倍も優遇されているということもできるでしょう。
定期貯金の利率0.01%と比べても,11倍となることから,いかに利率が優遇されているかが分かります。
マル優(非課税制度)の適用もあり
マル優とは
マル優とは,少額の預貯金に対する利子について,本来課税されるはずの税が非課税とされる制度のことです。
現在,銀行の預貯金につく利子に対しては,約20%の税が課されることとなっています。この約20%の税が,マル優制度を利用すれば,非課税とされるのです。
マル優制度を利用できる人
マル優制度を利用できるのは,主に障害基礎年金を受給するなどしている障害者です。
障害の種類は問われません。身体障害でも精神障害でも,どの障害種別であってもかまわないこととされています。
預入れ限度額は300万円
ニュー福祉定期貯金は,300万円までの額を預け入れることができるとされています。
300万円を超えて預入れをすることはできないのですが,逆に300万円以下の額を預け入れることは可能です。たとえば10万円や50万円といった少額であっても,この福祉貯金を利用することはできます。
満期は1年ごと|継続には手続きが必要
預入れの日から1年ごとに満期が到来することとされており,満期到来後は通常貯金の口座に振り替えられます。自動的に定期貯金が継続するというしくみにはなっていません。このため,1年ごとの満期到来日ごとに,ニュー福祉定期貯金を継続して利用するための手続きをする必要があります。
ニュー福祉定期貯金は利用できる回数に制限はないため,1年ごとに預入れの手続きをすることによってニュー福祉定期貯金を利用し続けることができます。1年ごとに手続きをする必要がある点には注意が必要です。
1年ごとに手続きをするのは多少の手間ではありますが,それでも1年に1回手続きをするだけで0.11%という優遇された利率が得られ,利息に対してかかる税も非課税とされるのですから,この程度の手間をかけても損はないといえるでしょう。
具体例|上限300万円を預け入れた場合
たとえば,上限の300万円を預け入れた場合,ニュー福祉定期貯金では1年で3,300円の利息がつきます。
これに対して,通常貯金や普通預金だと30円しか利息がつかないうえ,これに約20%の税が課せられるため,実際に受け取れる利息の額は約24円にしかなりません。その差額は約3,276円にもなります。
同じ300万円を預け入れているのに受け取れる利息の額に1年で3,000円以上もの差がつくのは,非常に大きいといえるのではないでしょうか。
1年ごとに3,300円の利息が得られるので,10年にわたって預入れを続ければ利息として得られる額は33,000円となります。これに対して,通常貯金だと10年預入れを続けても約240円にしかなりません。10年で差額は32,000円以上にも上るのです。この数字は,福祉用の積立としては非常に大きな数字であるといえます。
制度の対象であれば上手な利用を
ニュー福祉定期貯金は,福祉目的の貯金ということで,対象者は限定されます。ですが,障害を負った方や母子家庭・父子家庭の方など,福祉目的の貯金を必要とする方々にとっては,ぜひとも上手に利用したい制度であるといえます。
この制度を利用することにより,少しでもお得に資産を預け入れて資産形成ができるようになれば幸いです。 ニュー福祉定期貯金を利用しようという方は,ぜひ最寄りのゆうちょ銀行窓口にて相談してみてください。