就労ビザを更新する|手続きの方法と注意点

就労ビザには有効期間が定められています。あらかじめ定められた就労ビザの有効期間を過ぎているのに更新の手続きを行わないまま日本国内に滞在し続けていると,不法残留として出入国在留管理庁の取締りを受けることとなります。このため,外国人を雇用する企業は,その雇用する外国人の滞在が不法残留となることのないよう外国人の就労ビザの有効期間が切れてしまう前に更新の手続きを行わせなければなりません。

就労ビザの有効期間

就労ビザには,取得時にあらかじめ有効期間が定められています。この有効期間のことを「在留期間」といいます。具体的に個々の外国人の在留期間がどれくらいであるのかは,在留カードに記載されており,在留カードを確認することで在留期間を把握することができます。

更新手続きをしないまま就労ビザの有効期限が切れたら|多大な不利益が発生するので絶対に避けるべき

基本的には,就労ビザの有効期間である在留期間が満了するより前に,就労ビザの更新手続きを行わなければなりません。それでは,この更新手続きをうっかり忘れていたなどの理由で行わないまま在留期間が過ぎてしまった場合,どのようになるのでしょうか。

外国人が日本国内に滞在するには,滞在の理由に応じた在留資格を取得しなければならないのが原則です。外国人を採用して雇用する際に就労ビザを取得したのは,就労ビザという在留資格を取得しなければその外国人が日本国内で働くことができないからです。一方,就労ビザを取得したのち更新手続きをしないまま当初定められた在留期間が過ぎてしまった場合には,その外国人は日本国内に在留する資格を有しないこととなってしまいます。

このような場合,その外国人は日本国内に不法残留しているという状態になります。不法残留は入管法で禁止された行為であり,入国管理局の取締りの対象となります。入国管理局の取締りを受けた場合には,その外国人は日本国内に滞在し続けることはできません。身柄を拘束され,刑事上の処罰を受け,強制的に帰国させられることにもなり得ます。

また,在留期間を過ぎてしまい,就労ビザの有効期限が切れている状態になってからはじめて就労ビザの更新手続きをしようとしても,入国管理局に更新を拒絶されて滞在を続けることができなくなることもあり得ます。

このように,更新手続きをしないまま在留期間が過ぎてしまうことにより非常に大きな不利益を生ずることとなります。外国人を雇用する企業はその外国人が在留資格を失ってしまうことのないように更新手続きについてしっかりと指導・支援するようにしなければなりません。

就労ビザの更新時期|満了3か月前から

就労ビザの更新は,在留期間が満了する日より前に行わなければなりません。

更新手続きは,一般的には,在留期間が満了する日の3か月前から行うことができるようになります。このため,就労ビザの有効期限を確認し,有効期限が切れる3か月前になったらすぐに更新手続きに取り掛かるようにするのがよいでしょう。

就労ビザの更新方法

このように,就労ビザの有効期限が切れるより前に更新手続きをすることは,非常に重要です。それでは,具体的にはどのようにすれば更新をすることができるのでしょうか。

出入国在留管理庁に申請|行政書士等に代行してもらう

就労ビザの更新手続きとは,具体的には「在留期間更新許可申請」という手続きです。就労ビザを取得した時と同様,入国管理局に申請をします。

この手続きも,就労ビザ取得の際と同様に,行政書士等の専門家に依頼して代行してもらうことが一般的であるといえます。

転職・職務内容変更がない場合

就労ビザを取得した時から転職も職務内容変更もない場合,すなわちずっと同じ職場で同じ仕事をしていたという場合には,比較的容易に手続きを行うことができます。

手続きにあたっては,次のような書類を用意します。

  • 在留期間更新許可申請書
  • パスポート(コピー)
  • 在留カード(コピー)
  • 直近の住民税の課税証明書・納税証明書
  • 勤務先会社の直近の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印のあるもののコピー)

この場合,手続きはそこまで難しくないため,外国人本人に手続きを行ってもらうことも可能です。もっとも,外国人本人が手続きを行う場合には,本人が入国管理局まで出向かなければならず,また書類に不備があった場合にはそれを直すためにまた入国管理局に足を運ぶ必要があるため,このような手続きであっても専門の行政書士に依頼して代行してもらうことが無難であるといえます。

なお,この手続きは会社が外国人を代理して行うということはできません。外国人本人が行うか依頼を受けた行政書士が行うかのいずれかとなります。

更新手続きにかかる時間|なるべく早めの手続きを

就労ビザの更新のために在留期間更新許可申請を入国管理局にあてて行うと,おおむね申請の日から2週間〜1か月程度で更新許可・不許可の結果が出ます。

それでは,就労ビザが切れる直前に更新の申請を行ったため,結果が出る前に就労ビザが切れてしまうというような場合には,その外国人は不法残留となってしまうのでしょうか。

これについては,在留期間が満了する日より前に更新の申請を行っていた場合には,更新申請の結果を待つ間は不法残留とならず,結果が出るまで最大2か月間は適法に日本国内に滞在し続けることができるとされています。 もっとも,このような場合に仮に更新申請の結果が不許可だったときには,すでに有効な在留資格を失っているため再度の申請をすることはできず,日本国外に退去しなければならないということになってしまいます。このような事態を避けるため,更新申請の結果が不許可でも再度準備をして申請し直すことができるよう,できる限り早めに更新手続きを行うことが重要であるといえます。